和食の味つけ

我々日本人は生まれたときから和食を食べていますので当たり前に思っていますが、実は料理の味つけにこれだけ「甘味」を使う国はかなり珍しいと思います。

日本以外の多くの国では、甘味はお菓子につけるもので普段食べる料理に甘味を付ける事は極端に少ないと思います。

分かりやすい例で言うと、日本人にとって小豆やインゲン豆などの豆類を砂糖で炊くのは当たり前ですし、それをご飯のおかずにもしてしまいます。

すき焼きや照り焼きは甘くなければ美味しくないですし魚を煮付けるのにも砂糖を使います。

一方海外に目を向けると、豆を炊くのに砂糖を入れる国は見当たりません。メキシコやスペインでは豆料理はすごくポピュラーですが、砂糖を入れるレシピを私は知りません。

また、肉を使った料理に普通に砂糖を使う国も私の知る限りでは見当たりません。

ただトルコなどの中東地域やアフリカ諸国については私もあまり詳しくないのであるのかもしれませんが…。

ところでどうしてそうなったのかと言うことですが、日本には優れた醤油があるからだという説があります。日本の醤油は中国など海外の醤油に比べても別物と言っていい調味料なので、これを使うと何でも美味しくなってしまう。しかし醤油だけだと味のバランスが悪いので甘味をプラスする様になったという説ですが、私は単純に醤油や味噌と甘味の相性が良すぎたからではないかと思っています。

それと発酵調味料である味醂の存在も大きいと思います。味醂は実はとても不思議な調味料で、味醂単独で味つけをする事はありませんし、塩と味醂だけで味付けをすることもないように思います。

味醂を使う場合には必ずそこに醤油がセットで存在している珍しい調味料です。当然海外に味醂に相当する調味料は見当たりません。

さて、ここで「塩」について考えてみます。塩は勿論「塩味」を味にプラスしますが、働きとしては素材や料理の元々の味や旨味を引き立てる効果があります。

例えばスイカに塩を付けると甘味が増すのはそうした働きですし、魚に塩をすれば魚の旨味が更に感じられるようになります。

私は以前洋食のコックをしていましたが、洋食は塩の料理と言われていて料理の味つけはほとんど塩と胡椒だけで済ませてしまいます。勿論例外はありますが。

これはバターや生クリームなど脂の旨味を生かした料理が多いですし肉食文化ですから、発酵調味料などを使って旨味をプラスする必要がないからです。

一方日本は明治維新の頃までほとんど菜食と言っていい食習慣でしたから、野菜に旨味をプラス出来る醤油や味醂などの発酵調味料が発達したのだと思います。

その中で醤油や味噌の製造技術が磨かれて行き、それらと相性の良い味醂や砂糖も多く使われる独特の食文化が出来上がったのではないでしょうか。

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