病院や施設の料理が不味い理由その1

お年寄り向けの施設は色々ありますが、どのタイプの施設であっても提供される料理は全て栄養士が献立を考えます。たいてい向こう数ヶ月程度は献立が決まっていて、調理師は栄養士が作った献立表を見てその場で何でも作らなければいけません。

街場のレストランと違って和洋中なんでも作らなければいけませんから、「私は洋食の経験しかないので和食は作れません」等と言っていては仕事にならないわけです。

時には見たことも食べたこともない料理が献立表に載っていたりするので、実はこうした施設の仕事は若くて経験の少ない調理師にはなかなか務まりません。

この話しをすると良く言われるのが、献立表があるのなら献立表通りに作れば誰でも出来るでしょうという事なのですが、それで出来るなら調理師はいらないといった話しで実際には出来るものではありません。レシピ本を買ったからと言って誰でも料理上手にならないのと同じ理屈です。

当然我々調理師も事前に献立表を確認して、作ったことが無ければちゃんと予習をして現場に臨むわけですが、それでもうまくいかないときも有るわけで、時には失敗と言っていい内容の料理でも出さざるを得ない状況になることもあります。

病院や施設の料理が不味いと言われる原因は、実はこんなところにあったりします。

そしてもうひとつ、栄養士が作る献立そのものに問題がある場合もあります。

これは決して栄養士の悪口を言っているのではありません。

どういう事かというと、病院や施設では、一日三食の献立を毎日考える必要があります。

しかも一回の食事メニューが一つとは限りません。例えば朝食は洋食と和食の二種類考えるとか、夕食は肉と魚のメニュー両方考えるなど施設によって様々なパターンがあります。

にも関わらず、なるべく同じ献立が重なったり続いたりしないように知恵を絞らなければなりません。これが毎日ずっと続くわけです。

とてもじゃないけど自分だけの知恵や経験でこなせる量ではありませんから、当然献立を作成する栄養士さん自身も作ったことも食べたこともない献立をリストに入れざるを得ないわけです。

それぞれの現場には代々引き継がれている献立の蓄積がありますから、その中から最近使ったことのないものをピックアップするわけです。

これが良い献立なら問題無いのですが、一体どこから発想して作ったのか疑いたくなるようなとんでもない献立が出てきたりします。

こうした場合、経験のあるベテランの調理師なら献立表を見ただけでだいたいの出来上がりが想像できますので事前に栄養士と相談してその献立をリストから外すことが出来ますが、調理師と栄養士のコミュニケーションがうまく取れていない現場だったり忙しすぎて事前の献立表チェックが出来ない現場ではそのまま問題のある献立表が出てきてしまいます。

施設の現場では衛生上の理由で加熱調理する厨房と野菜や肉を切ったり洗ったりする厨房は分けられていまして、実際に加熱調理する厨房には献立表に記載されている材料の加工後のものしか原則持ち込めません。ですので献立の問題に気がついてもその場で臨機応変に内容を変更することが難しいといった問題もあります。

こうして結果的にとんでもない内容の料理が提供されることになるわけです。

もちろん現場の調理師はそれなりにちゃんと努力しています。しかもそこで働く多くの人がベテランと言っていい調理師さん達です。それでも不味い料理が提供される理由の裏側には実はこんな状況があるんです。

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