老老介護は家庭だけじゃない

最近は当たり前になりすぎて「老老介護」についてニュースになる事も少なくなりました。

大家族だった昔と違い核家族社会では当然訪れる現実が老老介護です。

そんな中、日経ビジネスオンライの記事にちょっと気になるデータを見つけました。

河合薫さんが書かれた記事なのですが、2022年8月の介護労働安定センターの調査によると介護労働の各職種の中で最も平均年齢が高いのが訪問ヘルパーさんとの事で、平均年齢は54.4歳。しかも60歳以上の訪問ヘルパーさんの割合は全体の37.6%を占めるとなっていました。その中でも70歳以上が12.2%を占めるとなっていて、介護職員にも高齢化の波が押し寄せている現実が見て取れます。

この記事を読んだ個人的な感想は、「そうだろうなあ」でした。

訪問ヘルパーさんに限らず、施設の内勤の介護士さんを見ても60歳代なんかざらですし、70歳代と思われる介護士さんも普通に現役でいらっしゃいます。

つまり施設でも訪問介護の現場でも、老老介護が普通になってしまっています。

私の知り合いの介護士さんは、70歳になったのを機に介護職を辞められたのですが、しばらくして厨房の方の仕事で復帰されました。理由を聞いたら身体介護は体力的にもう無理だけど、調理補助ならまだ出来そうとの事だったのですが、厨房の仕事もそこそこな肉体労働ですし、何もそこまでして働かなくてもと思った事があります。

一般の企業では定年があって働きたくても働かせてもらえませんが、介護の現場では定年など設けていてはとたんに人手不足に陥るので多少の事には目をつぶって採用せざるを得ない現実もあります。

少し前にネットで出回っていた底辺の職業リストにも介護職はしっかり入っていましたが、この仕事を「底辺」と見なす社会はいずれ大きなしっぺ返しを食らうことになります。

実は介護職が好きで好きでたまらないという人は多いですし、これほど感謝されるべき仕事もないと思います。それを底辺と言ってしまうとは………。

そんな介護現場での老老介護状態をなくすには、若い人が希望を持って働ける状況がなければいけませんが、その為にはやはり「底辺」と言われてしまう収入面を何とかしなければいけません。国は介護保険制度を設けてあとは民間に丸投げすれば何とかなると思っていたのかもしれませんが、現実はそうなっていないのですから色々考え直して欲しいと切に願います。

この事も含めて特にここ数年、日本という国は本当に壊れかけています。ただ、それも仕方ない事かもしれません。一度とことんまで壊れないと生まれ変わることは出来ないですから。

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