高齢者の栄養摂取について

私は調理師免許のほかに介護食士という資格も持っているのですが、その資格を取るに当たって専門学校に通いました。そこで受けた授業の中でとても印象に残ったのが高齢者の低栄養について教えていただいた授業でした。これは私が実際に自分の父親を介護して看取った経験と照らし合わせても納得出来るものだったので覚えているのですが、授業の中で先生が「在宅療養患者のうち7割以上が低栄養か低栄養の恐れがある」と教えて下さいました。

私も父を介護している時は一日三食作って食べさせていたのですが、亡くなる前の1ヶ月ほどは量にしてお茶碗一杯程のご飯が丸一日掛けても食べられませんでした。

普通に考えて栄養が足りているとはとうてい思えない量の食事しか受け付けなくなっていました。

ただ、これはもう看取りの段階に入っていたのでそうなっても仕方ない面があるのですが、まだまだ看取りの段階と言えない状況であっても一回の食事で食べられる量が減っていくのが要介護のお年寄りです。

介護施設で調理師をしていたときも、徐々に食べられなくなるお年寄りに対して介護福祉士の方が色々工夫されていましたし、その事で相談を受けたりもしました。

施設の場合は出来る事も限られていて、せいぜい食事の形態を普通食から刻みにするとかトロミをつける程度しかやりようがなかったりするのですが、ご家庭で介護している場合はもっと色々工夫が出来ると思います。

特に「心」の部分に対する工夫は大切で、私の父の場合でも、好物だったウナギを出した時には食欲が無くても頑張って食べようとしていましたし普段はお粥だった主食をその日だけは普通のご飯に変えたりもしていました。

それで実際に食べられるかどうかは別にして、心理面で本人に食べる事への意欲が湧く事が大切なのではと思います。

施設の話しに戻りますと、普段あまり食べないお年寄りも時々提供するイベント食の時は食が進むといったことがあります。

例えば、ひな祭りの日であればお寿司を提供する事が多いのですが、そういった日は普段よりも皆さん残さず食べておられます。

これも実際にそのお寿司の味つけがどうかよりも、ひな祭りという特別な日に対する心理的な要因がお年寄りに食欲を起こさせた面が大きいのだと思います。

勿論、毎日そうした記念日があるわけでもありませんが、ちょっとした事をこじつけてイベントに仕立て上げるなどご家庭では工夫出来るのではないでしょうか。

それと「薬」が関係する食欲不振もよく耳にしますので、ご家族の方は処方されている薬がどういった薬なのかしっかり勉強する必要があります。

また私の例で申し訳ないのですが、私が父の介護を始めた当初、歩き方にパーキンソン病特有のクセが見て取れました。ごく軽い出方だったのですが、何となく気になって医師に相談したところ、処方されている薬の中にそういった副作用の出る薬があることが分かり、その薬を止めたら正常な歩き方に戻ったことがありました。

お年寄りは何種類もの薬を飲んでいることが多いので、副作用についてもしっかり気にする必要があるという事です。薬のせいで食べられなくなって栄養不足に陥れば何のための薬か分からなくなってしまいますから。

最後に、お年寄りに最も不足しやすい栄養素はタンパク質と言われます。最近は肉好きなお年寄りの方が長生きするといった情報も聞かれるようになりましたが、肉や魚以外にも豆腐などの大豆加工品や乳製品でも補うことが出来ます。朝食には必ず卵を付けるなどタンパク質を普段の献立の中で意識することも大切な要素です。

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