とろみ剤の使い方あれこれ

人は誰でも嚥下機能が衰えてくるとむせやすくなります。そんな時に重宝するのが市販されている「とろみ剤」です。

これは味噌汁などのむせやすい食べ物に入れると適度にとろみがついてむせるのを防ぐ便利な物ですが、商品によって結構とろみの付き方がバラバラだったり時間が経つとトロミの濃度が変わってくるものなどがありますので、対象者の状態に合わせて何種類か試してみる事をおすすめします。

使い方はどんなトロミ剤であっても基本は同じですが、直接料理に投入する一般的な使い方と、トロミ剤を出汁などで溶いてトロミ液を作り、それを料理にかけて使う使い方があります。

汁物に使う場合は直接投入で問題ありません。しかし焼き魚などは直接振りかけてもトロミはつきませんから別途トロミ液をかけてあげる必要が出てきます。

一般に嚥下機能の衰えに合わせてトロミ液の堅さを調整しますが、最初は少ないトロミでも問題ありませんが衰えが進むほどトロミ液は固めに調整する必要が出てきます。

このあたりは個人差が大きいですので、対象者の様子をしっかり観察して調整してあげてください。

このトロミ液を作るときに是非気に留めて頂きたいことは、トロミ液をかけるお料理の味を壊さないように配慮する事です。

トロミ剤は冷たい液体に投入してもトロミがつく便利なものですが、温かいお料理に冷たいトロミ液をかけるのは避けたいですし、お料理の味を壊さない様にトロミ液に味を付ける事を忘れないでください。

これは私が働いていた施設で実際に目にしたことですが、施設の場合トロミ液を使用する入所者さんが何人もいますので、トロミ液の味を何種類も用意することは現実的に無理があります。それでまとめて作っておいたトロミ液を色々な料理に使い回すのですが、うっかりと洋風のお料理に和風出汁のトロミ液をかけてしまったりする事例が多々ありました。

ご家庭の場合は対象になる方はせいぜい一人か多くて二人といった感じだと思いますので、和風のお料理には和風の味を付けたトロミ液を、洋風のお料理にはコンソメなど洋風の味つけのトロミ液を使ってあげてください。

例えばハンバーグでしたら、トロミのあるデミソースをかければトロミ液はなくても良いでしょうし、使う場合でもデミソースの味と喧嘩をしないケチャップとウスターソース等を混ぜた下地を作ってそこにトロミを付けるなどすれば味を壊しません。

しかし味のない水にトロミを付けただけのトロミ液ですと、お料理が水くさくなってしまい、誤嚥は防げるかもしれませんが食欲は湧かず肝心の栄養が摂れないといった事になってしまいます。トロミ液の用意にかかる手間は別の介護食を一品作る事を考えれば簡単なものです。是非面倒がらずに味付きの美味しいトロミ液を作ってあげてください。