介護保険が出来て以降はデイサービスや訪問介護なども充実してきましたから、昔の様に全て自宅で介護した頃とは比べられませんが、それでも実際に介護をしている間は上手に息抜きや気分転換をしないと介護する方もされる方も幸せになれません。
気分転換の方法は人それぞれですので一概にどうこう言えるものではありませんが、参考までに私が介護生活をしていた頃の方法をご紹介します。
まず私は父を介護する為に実家に単身赴任する事になりました。
兄姉もいましたが、色々な事情で結局私が一人で介護する事になりました。
父の体調は、同居を始めた最初の頃はまだまだお風呂にも一人で入っていましたし、食事とちょっとした身の回りの手伝いだけしておけば基本的には放って置いて良い状態でした。
しかしそんな状態は長く続かず、徐々に手が掛かるようになっていきます。
私が単身赴任出来たのは、ネット環境があれば仕事が出来たからなのですが、その仕事にもだんだん影響が出るようになってきました。
こうなると私の中では次第にストレスが溜まっていきます。収入も不安定になりますし、ちょっとした事でも何故か腹が立ったりするわけです。
さすがに私も考えまして、平日は1時間、土日は3時間程度は家を出て買い物ついでにコーヒーなど飲みに行く様にしました。
これは私の父が認知症の症状がなくパンツ型のオムツを履かせポータブルトイレをあてがっておけばその程度の時間は目を離すことが出来たから可能な事でした。
私の実家は大変な田舎でしたので、ちょっとコーヒーと言っても車で20分以上走らないと飲めませんでしたから、平日はスーパーの買い物だけの時間しかありません。
それでもちょっと車を走らせてスーパーで買い物するだけで気分転換にはなりましたので、特に買うものが無くても必ず車で出かけるようにしていました。
そして土日は父にも少し我慢をしてもらい、隣町のショッピングセンターまで出かけていました。
車で片道40分程かかる距離ですが、そこまで行けば大きな書店やユニクロもありましたしコーヒーも飲めましたから、いつも書店で本を買ってそれを読みながらコーヒーを飲み、時間が来たら買い物を済ませて帰るパターンです。
これを私は父が亡くなるまで可能な限り続けました。
なにせ私の父は、デイサービスも訪問介護も嫌がりましたので結局介護保険のサービスとしては自宅に手すりを付けたり介護用ベッドを借りたりといった設備系のサービスしか使わせてくれませんでした。
そうしてついに一人で介護するのが限界に達した時、丁度そのタイミングで父が亡くなりました。夜寝る前に、「明日はどうしても介護サービスを受けてくれるように何としても説得しよう」と決意した翌日の朝の事でした。
まぁ今となっては介護生活も良い思い出ですが、当時は中々心に余裕を持つことが難しかったです。その中でちょっと街まで出かけての買い物や読書が私にとっては本当に癒やしになりましたし、少しだけ充電して父と向き合うことが出来ました。
人それぞれ気分転換の方法はあると思いますが、その方法と実際の介護とを上手に組み合わせることが出来れば、介護する方もされる方も、それなりに幸せな介護生活が送れると思います。