お年寄りとパン

老人向け介護施設の朝食はその施設によって色々なパターンがあるのですが、どこの施設であっても和食だけとか洋食だけとかいう事はなく、和食と洋食をそれぞれバランスしながら提供されます。

施設によっては和食と洋食のチョイスが出来る施設もありますが、出来ない施設では一日おきに洋食と和食を出したりして、両方提供されることが多いと思います。

洋食の場合の主食はもちろんパンなのですが、嚥下機能に問題があるお年寄りにとってはパンというのは危ない食材になってしまいます。

理由は喉に詰めやすいからなのですが、どうしてご飯だと大丈夫でパンだと危ないのかというと、パンは口の中の水分を奪うので唾液の分泌量が少なくなっているお年寄りにとっては、うまく飲み込むことが出来ずに喉に引っ掛けてしまう事があるからです。

これを防ぐには牛乳やスープなどで水分を補給しながら食べれば良いのですが、事故を怖れる施設では、嚥下に問題がある方については全て「パン粥」で提供するなど対策をとる場合があります。

もちろんパン粥も美味しく作れば問題ありませんが、元々日本人には馴染みのない食べ方になりますので、残す人が多いのが現実です。

施設での食事提供だとこれも致し方ない面があるのですが、家庭で介護されている場合、パンはそのまま提供する事を基本とした上で、水分を一緒に摂らないと喉に詰める事があると意識しながら食べさせてください。

そうした視点で見たときに日本のあんパンはとてもよく出来た食べ物だと思ったことがあります。パンなのにとてもしっとりしていて飲み込むのに都合が良いですし、パンの生地も柔らかいですから。

若い人はあまり、あんパン食べないかもしれませんが、お年寄りは結構好きなのでおやつなどで食べさせてもいいかと思います。

逆に食べさせてはいけないパンは、メロンパンに代表される水分含有量の少ないパンです。コッペパンやコンビニなどで売っている棒状の菓子パンなども注意が必要です。

こうしたパンを食べさせる時には必ず一緒に飲み物かスープを付けて、出来れば一度スープに浸すなどしてパンに水分を吸わせてから食べて貰うようにしましょう。

お年寄りには意外とパン好きな人が多いので、危険だからと遠ざけずに色々工夫して食べさせられるのも家族介護の良い点です。

私の記事では何度も書いていますが、食事は「楽しみ」であって「医療」ではありません。

安全や栄養摂取を意識する余り押しつけの食事になってしまっては本末転倒です。

本人の食べる意欲を引き出す事が出来るのも家族介護の素晴らしい部分だと思います。

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