在宅で介護をしていますと、何かと時間を取られることが多く自分のやりたいことが中々出来なくなります。そんな日々が続くと段々と心に余裕が無くなってきてちょっとした事に腹を立ててしまったりして悪循環に陥ってしまいます。
いつ終わるとも知れない介護生活を快適に過ごすためには何と言っても「心に余裕」を持つことが一番です。
私が介護生活をしていた頃は、自宅で仕事をしながらの介護でしたので、一日一度はとにかく少しの時間でもいいから外出をして外の空気を吸うと同時に気分転換をはかる事を日課にしていました。
それをせずに「介護→仕事→また介護→仕事に戻る→またまた介護」のループを繰り返したまま一日を終えるとどうしても心に余裕が無くなってしまい疲れてしまいます。
私は料理人ですし食べる事が大好きですので、父との食事の時間はとても大切に思っていたのですが、時間のやりくりが難しいときには料理を作る時間も中々長くはとれません。
そんな時には時々スーパーの惣菜で済ますこともあったのですが、必ずお皿にきれいに盛り付け直して出すようにしていました。
煮たり焼いたりする時間はなくても、ちょこっと盛り直す時間くらいはありますから、出来合いの惣菜をちょっとキレイに盛り付けて食卓に並べるだけで何かしら料理をした気分にもなりますし、最低限やることやってるぞと自分に言い訳も出来ます。
幸いにも私の父には認知症の症状はあまりありませんでしたので、夕食の時には会話を楽しみながら過ごす事も出来ていました。
そうした夕食の時間を持つことで、そのあと一日の終わりに向けて続いていく介護の作業にも穏やかな気持ちで臨むことが出来ていたと思います。
気分転換やストレス発散の方法は人それぞれですから一概に何をすれば良いといった話しではありませんが、結果的に少しの「心の余裕」といいますか、リラックスモードを作る事が出来れば介護する方もされる方も幸せな時間を過ごせるのではないでしょうか。
これは施設での介護にも同じ事が言えると思います。
例えば人手不足で一人で全部の利用者さんのパッド交換をしなければいけない状況があるとしたら、当然一人一人に時間を掛けていられませんし、作業も雑になってしまうかもしれません。
しかしそんな時こそ、心に余裕を持って事に当たることが出来れば、結果的に介護する方もされる方も嫌な思いをせずに済むのでは思います。
何かと世知辛い世の中で、社会全体にどんどん余裕が無くなっていると感じますが、そんな時こそ「心に余裕」を持って日々を生きて行けたらと思います。