介護食の献立は自分中心に考えよう

要介護の家族を抱えての食事づくりは、要介護度の変化や日々の体調に合わせて常に臨機応変に変えていく必要に迫られます。

そうした時に、普段から料理好きな方であればパパッと何でも作る事が出来るかもしれませんが、あまり料理が得意で無い方の場合、料理の準備そのものが億劫になってしまうことは仕方ない事と思います。

そうした方に、普段介護食を教えている私からいくつかアドバイスしたいと思います。

まず一番大事なことは、介護食として何か特別な料理を作らなければならないと思わない事です。

あくまで自分中心に献立を考えてかまいません。たまたま自分が食べたいモノがお年寄りに食べにくいものであれば、それを食べやすくアレンジすればいいわけです。

その際に必要なのが、お年寄りは一体どういった食べ物が苦手なのかを知っておくことです。

お年寄りが苦手な食べ物は大きく分けて「硬いもの」と「乾いたもの」の二つです。

「硬いもの」については、歯が悪くなれば誰でも苦手になりますから理解出来ると思います。もうひとつの「乾いたもの」に関しては若い方は中々実感しづらいのですが、万人共通の老化現象として、唾液の分泌量が減るという事があります。

特に女性にこの傾向が強いとされていまして、早ければ50代でこうした傾向が出てきます。

勿論、個人差も大きいですので自身がお世話している方がどうなのか普段から注意しておく必要があります。

この二つの要素を取り除けば結果的にお年寄りでも食べやすくなるわけです。

具体的に見ていきましょう。

例えば、自分は今晩どうしてもトンカツが食べたいとします。

自宅で揚げるのも面倒ですしスーパーで出来合いのトンカツを買ってきて済ませる場合の例をあげます。

まずトンカツはお年寄りにとって「硬いもの」の部類に入ると思いますので、スーパーである程度カットして売られているとは思いますが、更に小さく切って提供しましょう。

そしてトンカツは揚げ物ですので、どちらかというと「乾いたもの」になります。

これを補うのに施設などではトロミ調整剤でトロミ付けした出し汁なんかを上から掛けて提供するのですが、家庭ではそれはおすすめしません。

トロミ液の代わりになるものはスーパーにいくらでも売っていますし、それを一緒に食べれば栄養面でもランクアップします。

トンカツと一緒に食べるトロミ液の代わりになるモノで私がおすすめするのはポテトサラダです。スーパーの惣菜売り場で一緒に買ってきてしまいましょう。

小さく切ったトンカツにポテトサラダを添えて一緒に口に入れればポテトサラダの水分が唾液の少なさを補ってくれて飲み込み安くなります。

他にはレトルトパックで売っているトマトソースなどをトンカツに掛けて食べるという方法もあります。そのまま使えるホワイトソースなども簡単です。トンカツにホワイトソースを掛けて更にチーズも掛けてトースターで焼けば豪華なご馳走になりますし、適度にしっとりするのでお年寄りには食べやすくなります。

こんな風に、自分の食べたいモノ中心に献立を考えて、それを少しだけアレンジすれば立派な介護食になると分かれば、日々の介護も少しだけ楽になるのではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です