在宅介護生活にも色々なパターンがありますが、どのパターンであっても気分転換はとても大切な事になってきます。
例えばデイサービスを利用出来ている場合は、要介護者がデイサービスに行っている間に買い物に出かけたりして気分転換する事が出来ますし、多くの方はそうしているのではないでしょうか。
私の義母などはデイサービスの他にショートステイなども利用して、自分は旅行に行ったりと上手にやっていました。
ただこうしたサービスを利用出来ない場合、日常の生活に変化を付けて気分転換を計ることは本当に重要になってきます。
これは以前にも記事にしましたが、私の場合をお話しします。
当時私は大阪に家族と一緒に暮らしていて、父は私の家からは車で3時間ほどかかる田舎で独り暮らしをしていました。
その父がいよいよ独り暮らしが無理な状態になったので、私が単身で田舎の実家に引っ越して介護生活に突入しました。
私は実家で在宅の仕事をしながら父も介護する事になりましたが、父はショートステイはおろかデイサービスすら嫌がって利用してくれませんでした。
いくら実の息子であっても嫌がる事を無理強いすることは出来ませんので、私は仕方なくその状況を受け入れたのですが、そうするとどうしてもストレスが溜まりますし家を長時間留守に出来ない状況は精神的にも辛い物があります。
それで私が毎日の日課にしたことは、「必ず一度は外出する」でした。
私の実家はド田舎でしたので、スーパーに買い物に行くにも車が必要でした。それも結構遠方まで行かないとお店が無い環境でしたので、普通は週末などにまとめ買いして普段は出かけずに済ますのが楽なのですが、それをすると家の中で「介護」→「仕事」→「仕事中断してまた介護」→「仕事再開」といった無限ループにはまってしまい気持ちが滅入ってしまいます。
それで必要なくても一日一度はスーパーまで出かけていって店内をぶらぶらして帰ってくる様にしました。これでだいたい40〜50分程度の外出時間です。スーパー滞在時間5分程度でも私の場合はそれなりに気分転換出来ました。
平日は毎日そうして過ごし、日曜日には父にも少し我慢してもらって町内にあった公営の温泉に入りに行きました。ついでにもう少し足を伸ばして書店やショッピングセンターなどがある隣町まで行くようにしていました。
これでだいたい3時間ほどは家を空ける事になりましたが、何とか問題が起きること無く介護生活を終えることが出来ました。
今考えても私にとってこれはとても重要な事だったなと思います。
最後に丁度今、在宅で認知症のご主人を介護している私の友人のケースをご紹介します。
認知症のご主人には当初徘徊があったので、まったく目が離せない状況だったそうなのですが、ほんの一瞬目を離した隙に行方不明になった事があったそうです。
その時は結果的に保護されて帰ってきたのですが、幸いにもそれ以降怖がって玄関から外には一人で出なくなったそうです。
そんないきさつで、以前の様にずっと監視する必要がなくなったので、その友人は時々一人で夕方にお酒を飲みに行っています。ぶらりと一人で居酒屋に入り、軽く飲んでしゃべって1時間ほどで家に帰るそうです。
そうすると気分もリフレッシュして介護生活に向き合えると言っていました。
いつ終わるかも知れない介護生活は、介護する人の心の状態がそのまま要介護者にも影響します。どうか上手に気分転換してこの貴重な経験を実り多き物にして下さい。