健康常識のアップデート

誰でもそうですが、自分が親の介護を意識したり実際に介護する時期というのは、だいたい50歳前後くらいから60歳頃にかけて始まることが多いのではないでしょうか。

私は父親が35歳の時に生まれたのですが、父が82歳の時に介護を始めましたので47歳で介護生活を始めたことになります。

その辺りの年齢層ですと、男性も女性もまだまだ元気ですし、老人特有の「健康常識」などご存知ないのが普通です。

逆に女性でしたら自身が更年期にさしかかる頃合いですから、自分の体調管理についての知識はアップデート出来ていても、介護が必要な親の年代についての知識は中々アップデートされていません。

私の介護食の講座を受講して下さる方にお聞きしても、詳しい方はそれなりに詳しいけどそういう方は稀で、知らない方は全く知らないという印象です。

実は私もそうだったのですが、何も知らないままに介護生活に突入した場合、良かれと思って食べさせていたものが実は逆に良くなかったという事が起こってしまいます。

一番多いのが、年寄りは脂っこいものは苦手だろうと判断して毎日なるべくサッパリしていて消化の良さそうな低カロリー系の献立を食べさせる事です。

介護する方は丁度中年太りが気になる年齢なので、自分はカロリー低めで済ませたいと思うのは分かるのですが、これはお年寄りに一番やってはダメな事になります。

理由はタンパク質の吸収をはじめとした代謝機能が衰えるからで、食べた物から必要な栄養素が吸収出来ない場合、人間の体は自分の骨や筋肉を分解して必要なエネルギーを作ろうとしてしまいます。

代謝機能が衰えるという事は、同じ量の食事を食べてもなかなか身につかないという事になりますので、若い頃よりも高カロリー高タンパクの食事を意識する必要があるわけです。

更には食べても身につかないのに、食べる量は加齢とともに徐々に減っていくわけですからここは特に意識するポイントです。

最近はあちこちで言われるようになりましたが、少し太めで総コレステロールもちょっと高めの人が健康で長生きする事が分かってきています。

これは代謝機能が衰えても量が食べられなくなっても、脂肪の形で体内に貯金が出来ていれば長く元気で過ごせますよという事の裏付けになります。

そう考えると本来ならある程度の中年太りは歓迎すべきものなのですが、健康診断で高脂血症だとかメタボだとか言われてしまうとどうしても気になりますしダイエットも頑張ってしまいます。

その考えをそのまま自分の親の食事に当て嵌めてしまうと逆に親の健康寿命を縮めることになる可能性が高いわけです。

中高年までの健康常識と老年期の健康常識は全く違うという事を知った上で、食事にまつわる常識のアップデートをおすすめします。

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