主体的に食べるという事と介護食

介護施設に入居すると基本的に食事の時間は決められてしまいます。必ず決まった時間に食事が用意されて決まった時間に食べ終える必要が出てきます。

この事は、生活を規則正しくしリズムが生まれるという意味では良いことなのかもしれませんが、お腹が空いていなくても食べなくてはいけないですし、そうなると食べられる量も少なくなってしまいます。

お腹が空いていたとしても人間歳を取ると一度に沢山食べられなくなりますし、食べた物を消化吸収する能力も衰えてきます。つまり同じだけ食べても若い人に比べて身につかないという事になります。老人は意識して沢山食べましょうという言われる理由がこれです。

ただ、これは万人に訪れる老化現象ですので結果的に食べられなくても仕方ないと諦めるしかありません。こうした老化現象は他にも様々あり、つまり人間の体は段々と枯れていくように作られているわけです。

そうであるなら、食事にかんして「量」や「栄養素」にこだわるのは二の次にして「楽しみ」の部分にこだわってほしいというのが介護食士でもある私の考えです。

その「楽しみ」の部分で外せない条件が「主体的に食べる」という事になります。つまり食べたいと思って食べるという事です。

食べたいと思って食べるから美味しいですし楽しいわけです。その結果、沢山食べる事が出来れば尚良いという事になります。

私が介護食に関して人前でお話しをさせていただく時には、必ずトロミ調整剤の事をお話しさせていただきます。介護する側としては誤嚥性肺炎を起こさせてはいけないと考えて、むせて咳き込み安いお年寄りには薬を飲むお水にまでこのトロミ調整剤を入れて薬を飲ませたりします。しかしトロミ調整剤は食品の味は変えませんが、食感は変えてしまいます。結果的に食事から美味しさが消えて楽しい食事ではなくなってしまう事が多々あります。

これが続くと、段々とお年寄りから食べる事に対する意欲が失われていき、良かれと思って行った行為が結果的にその人の生きる意欲を奪う結果にもなるわけです。

勿論、施設ではドクターの指示などもありますからトロミ調整剤を使わない選択肢はありませんが、ご家庭で身内を介護されているのであれば極力こうした物は使わずにいてほしいと思います。

こんな事を書くと身も蓋もありませんが、誤嚥性肺炎を起こすと言うことは、そろそろ旅立つ準備が整いましたという事だと思います。そうであるなら、そんな事を怖がって食事の楽しみを奪うより、本人が美味しく、そして楽しく食べられる事が一番の介護になるしお互いの幸せにつながるのではないでしょうか。

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