給食調理の難しさ

料理の世界にも色々なジャンルがありまして、一口にプロの料理人と言っても様々なプロが存在します。

例えば、町中華のオヤジさんも京都の高級料亭の板前さんもどちらもプロの料理人ですが町中華のオヤジさんに高級料亭の厨房で仕事しろと言っても恐らく何も出来ないでしょうし、逆に高級料亭の板前さんに町中華で中華鍋を振れと言っても出来ないでしょう。

これはどちらが優れているかという話しでは無くジャンルが違うので出来無いのが当たり前なんです。

料理人に限らず職人の世界というのは、何かひとつのジャンルを決めたらそれをずっとやり続けるのが普通ですし、そうする事で技術が磨かれキャリアアップしていくわけです。

そう考えた時に、老人ホームや病院、学校などの給食施設の調理は同じ調理の仕事の中でもかなり特殊だという事を今日はご紹介したいと思います。

まず、作る料理に決まったジャンルがありません。

一日三食、朝昼晩で作るジャンルが全部違うなんてことは普通です。

例えば朝はスクランブルエッグを作り、昼は牛丼、そして夕食には八宝菜なんて事も当然ありえます。

もしこれを私がやるとすれば、私の場合洋食のコックでしたので朝のスクランブルエッグなら自信を持って作れます。しかし牛丼と八宝菜は店の賄いで作ったことはあっても、それを商品として作った経験はありませんから、最初は恐る恐る作るしかないですし、実際そうした経験を私も何度もしています。

これが街のレストランなら、そこで提供するメニューは全てジャンルが同じですし自分が出来なくても先輩や同僚が技術の不足を補ってくれます。

ところが給食施設の厨房だと、和食・洋食・中華の全部の職人さんが揃って同時に仕事をしているとは限りませんし、実際そうした状況はまずありません。

一番多いパターンは、調理師が二人いたとしたら、二人とも和食出身のパターンが一番多いと思います。

施設ではお正月のおせち料理などもありますし、他の行事食でも寿司など和食を作る事が多いですので、そうした事が得意な和食出身の方がどうしても多く働く事になります。

だらかと言って毎日の献立には当然ハンバーグなどの洋食もあれば回鍋肉などの中華もあります。

和食出身だから無理ですとは言えませんので、とにかく頭をフル回転させて作るほかありません。

ですから、こうした施設の調理師というのは若くて経験の浅い人には中々に荷が重いのも事実です。賄い調理も含めてそれなりに経験を積んだベテランでも戸惑うことが結構あるのが給食調理です。

施設での調理で求められるのは、ジャンルにこだわらず全てを可不足無く100点は無理でも何とか70〜80点くらいにまとめる技量になってくるわけですが、それってベテランの主婦の方が一番優れているのではと、書きながら思った次第です。

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