近頃は書店の平積みを見ましても、70代以降をターゲットにした本が多く見られます。
それだけ高齢化が進んでいて、出版社も高齢層向けの本を多く出すようになりました。
料理本のジャンルでも50歳代以降をターゲットにした本が散見される様になりました。
以前の料理本と言えば子育て世代に向けた本が中心でしたから、時代は変わる物だと思います。
私の様に普段から高齢者向けの食事づくりを専門にやっている料理人がカルチャーセンターなどで介護食についての料理教室を持つことは、以前ならありえなかったと思います。
そこで今回は、高齢者予備軍の50歳代以降に、食事面で気をつける点をいくつかご紹介したいと思います。
50代というとまだまだ元気ですし、自分が高齢者になる事が具体的にイメージ出来ないかもしれませんが、肉体の変化がはっきりと現れ始める時期でもあります。
特に女性は更年期の時期と重なりますから、食事の面で気をつける習慣があるのと無いのとでは10年後の体力に結構差が出てしまうかもしれません。
ただ前提として、「自分の体の声を聞く」という事が一番大切になりますので、その事を踏まえた上で以下参考になさってください。
まず一番考え方を変える必要があるのが「カロリーを気にしない」という部分です。
和田秀樹先生の著書などでも盛んに取り上げられていますが、ちょっと太めで血圧も高めの人が健康で長生きするという事が知られるようになってきました。
BMIの数値でいくと25〜30未満の範囲に分類される方がこれに当てはまります。
男性も女性も中年期に中年太りを気にしてカロリーを気にしがちですが、この時期に太ることはデータから見ても理にかなっているわけです。
ですから太り方が急激で病的でない限りは、あまり体重を気にせずに食べたい物をしっかり食べれば良いと思います。
「カロリーを気にしない」にはもう一つ理由がありまして、誰でも若い頃の様に沢山食べられなくなります。その上、代謝機能も徐々に下り坂ですから、同じだけ食べていても段々と身につかなくなってきます。
代謝が大きく変化するのは70歳代以降になりますが、個人差はあるにせよ50代でも変化はありますから、カロリーを気にしていたら知らぬ間に栄養不足に陥る事があるわけです。
自宅で独り暮らしの老人を調査したら多くの人が栄養不足状態だったという記事が時々配信される事がありますが、これは調査されていないだけで、中年期にも当てはまると思います。
そうならない為に留意して欲しいことは、「脂肪を毛嫌いしない」です。タンパク質をしっかり摂りながら、同時に脂肪を無理に避ける事はやめましょう。
わざわざ脂肪を避けなくても、そもそも量が食べられないわけですし一度に多くのタンパク質や脂肪を取り過ぎると下痢をしやすくなるのもこの年代です。
長くなるのでこの辺までにしておきますが、体重を落とさない工夫をする事が、健康に歳を取っていく上でとても大切な事になってきます。
私が普段やっている料理教室では、要介護のお年寄りは体重を落とさない事が元気の秘訣ですとお伝えするのですが、これは50歳代からすでに始まっています。
無理に食べて太る必要はありませんが、40歳代までは気になったメタボ対策を50歳代からは卒業してほしくてこんな記事を書かせていただきました。