ご存知の方も多いと思いますが、人間歳を取ると暑さや寒さを肌で感じる感度が鈍くなります。
夏の暑い時期に熱中症で亡くなるのはお年寄りが多いのですが、若い人に比べ暑さを感じにくいため、冷房を付けずに我慢してしまい無自覚なまま熱中症になるパターンが多いと聞きます。
こうしたニュースを聞く度にそうだろうなと思う反面、寒さについては違うのでは無いかと経験上感じています。
介護士の方なら経験がおありと思いますが、老人向けの施設ではクーラーをかけると寒がるお年寄りが多いので冷房をほとんど使えない事が多々あります。
暑い時期に冷房があまり効いていない食堂で汗だくになりながら食事の介助をする介護士さんをよく見かけますが、訪問した複数の施設で経験していますので、たまたま私が関わる施設だけの話しではないと思います。
私は調理のスタッフですので食事介助はやりませんが、介護士さんにどうして冷房を効かさないのか聞いてみると何処の施設でも「寒がるからダメなのよ」と教えてくれました。
私も配膳の際に、お年寄りから直接寒いと言われたことが何度かありますので、人間には本能的に暑さより寒さを避ける能力が備わっているのかもしれないと感じます。
これは人が一番多く亡くなる季節が冬の寒い時期である事と関係しているのかもしれませんね。
そういった事に関連して、私がいつも思っているのに中々口に出して言えないことがあるのですが、それは「老化」とは全てが死ぬ方向に向かうための体の適応だという事です。
先にあげた肌の温度感覚が鈍くなるのもそうですし、味覚の事で言うと、塩味を感じにくくなる事や喉の渇きを感じにくくなる事などは「死を迎える方向」へ体がシフトしている証拠だと常々感じていますし、それは自然な事だとも思います。
その極めつけが誤嚥をしても、つまり気管に食べ物が間違って入っても分からなくなる事ではないでしょうか。
元気な人なら、ほんの少しの水分が気管に入っただけでもむせて咳き込んで大変ですが、寿命間近のお年寄りの場合、気管に何か入っても分からない為に、そのまま異物が肺まで届いてしまい、結果的に誤嚥性肺炎を起こして亡くなってしまいます。
老人向けの施設では、嚥下能力の衰えた方が誤嚥を起こさない様に、トロミ調整剤で食べ物全てにトロミを付けて食べさせますが、私はそこに関しては本人の意思でトロミを付けて欲しいと言われない限りはやるべきではないと思っています。
理由は、食事が不味くなるからに尽きるのですが、これは私が食いしん坊だからそう思うのでしょうかね。
少なくとも私は将来自分が要介護になった場合、肺炎を起こしてもいいから普通の食事を食べさせて下さいとお願いすると、今の段階では思っています。