介護食と食材の相性について書くシリーズ2回目です。
前回は卵について書きましたが、今回は「ホタテ貝」です。
介護食に関する食材の話しでホタテ貝はピンとこないでしょうか?
実際に老人向けの施設で働いていても、ホタテ貝(貝柱)を使う事は少ない様に思います。
安い食材でもないですから尚更ですが、ご家庭で介護食を考える時には是非使っていただきたい食材ですので、あえて取り上げました。
実は歯が悪くなったお年寄りにとって、貝類は食べづらい食材のひとつなんですが、同じくイカやタコ、エビも歯が悪い方には食べづらくなってしまいます。
これらの食材に共通して多く含まれる栄養素がタウリンで、野菜や果物にはほとんど含まれていません。
つまりタウリンは、お年寄りにとって放っておくと不足しがちな栄養素というわけです。
そのタウリンには肝機能を整えたり血圧を下げるなどの効果があるとされていますし、タウリンを配合したドリンク剤が売られているように、スタミナが付き身体全体を元気にするイメージもあります。
当然積極的に摂りたい栄養素になりますが、前記の様にいずれもお年寄りには食べにくい食材ばかりです。
そこでおすすめするのがホタテ貝の貝柱になります。
スーパーで売られている貝柱は、刺身用の生の貝柱とヒモが付いた状態で加熱処理したものが多いと思います。それと水煮の缶詰もあります。
この3種類のうち、介護食を意識した献立に使って欲しいのは刺身用の生と水煮の缶詰になります。
生の貝柱は、一部硬い部分を外せばそれこそ歯茎でも潰せるほどの柔らかさですから、是非お刺身やカルパッチョなど生で提供してください。
夏場に食中毒が気になる場合は、酒蒸しなど塩や醤油を加えずに加熱する調理法ならある程度柔らかく食べる事が出来ます。
また、貝柱の缶詰は必ず汁ごとスープや炒め物に使って下さい。
タウリンは水溶性ですので、汁を捨ててしまうとせっかくのタウリンも捨てることになってしまいます。
ちなみにホタテ貝の旬は夏と冬の年2回とされていますが、漢方の薬膳では冬の食材として扱います。口や喉の渇き、肌のパサつきを改善し、脾と胃の機能を回復し尿の出を良くする働きがあるとされています。中華料理で干した貝柱が珍重される所以です。
今日は介護食と食材の話題2回目、ホタテ貝の話しでした。