介護食を意識した献立を考える時に外せないのが「とろみ」です。一般的には出来上がった料理にトロミ剤を使って粘度を付けるイメージでしょうか。
勿論それでも良いのですが、和風ならあん掛け、洋風ならホワイトソースを使ったグラタンなどであればわざわざトロミ剤を使う必要はありませんしその方が美味しく感じられると思います。
トロミ剤は味を変えずにトロミを付けるのが売りなのですが、残念ながら全く味が変わらないかと言えばそうでもありませんので、やはり使わずに済むのであればその方が良いと思います。
そこで知っておいて欲しいのが「片栗粉とコーンスターチの違い」です。
どちらも澱粉ですから同じかと思われがちですが、トロミの付き方や仕上がりの雰囲気など微妙に違いますのでそれぞれの特長を分かった上で上手に使って欲しいと思います。
まず片栗粉ですが、原材料はジャガイモになります。和食や中華料理などのトロミ付けには通常片栗粉が使われます。透明な出汁に使っても仕上がりの色が濁ること無く透明に仕上がるのが片栗粉の特長です。
一方コーンスターチですが、名前の通りトウモロコシが原料です。洋食の揚げ物やお菓子などに使われることが多いのですが、同じ澱粉ですので和食や中華に片栗粉と同じ様に使う事は可能です。ただ、仕上がりの色は透明にはなりません。濁ってしまいます。(写真参照)
ここが片栗粉との大きな違いです。和食のあん掛けなどで仕上がりに透明感が必要な場合は使う事は出来ません。
それと、同じ量を使っても片栗粉の方が強くトロミが付きます。コーンスターチはトロミがマイルドな印象です。
そしてもう一つ大きな違いがありまして、コーンスターチで付けたトロミは冷やしてもそのまま持続します。ところが片栗粉の場合、食べ残しを冷蔵庫に入れていて翌日出してみたらトロミが無くなっていた経験はないでしょうか?
そうなんです。片栗粉の場合は、料理にもよりますが冷めるとトロミが無くなってしまうことがあります。しかしコーンスターチは比較的トロミが残ります。ただし冷める過程で材料から水分が多く染み出す料理はそうとも限りません。
これも介護食を意識した場合には押さえておく必要があります。
片栗粉でつけたトロミが冷めたことによって無くなった場合、その料理をもう一度温めてもトロミは付きません。どうしてもトロミが必要なら再度片栗粉を使ってトロミ付けをする必要があります。ですので残ることが想定される場合や、作り置いて後日食べる予定の場合などは、コーンスターチが向いていることになります。ただし、色が濁ることだけは我慢してください。
以上が片栗粉とコーンスターチの主な違いになります。特長を知った上で上手に使いたいものですね。