こんな経験はないでしょうか。
喫茶店で本を読みながらコーヒーを飲んでいたとしましょう。
最初は熱いコーヒーを一口飲んではページをめくり更に飲んではページをめくりしていたのに、いつの間にか本の内容に熱中してしまい、コーヒーを飲むことを忘れていた。
気がついたときにはコーヒーはすっかり冷めてしまっていた。
あわてて冷めたコーヒーを飲むのですが、何だか最初より苦く感じる…。
実は「苦み」は温度が高いとあまり感じないのですが、温度が下がると強く感じるようになります。
ホットコーヒーよりアイスコーヒーの方が苦みを強く感じるので、ホットはブラックで飲む人もアイスだとミルクやシロップを入れて飲む場合も多いのではないでしょうか。
同じ様に「塩味」も温度が低い方が強く感じるようになります。
煮物なんかも作りたてより一晩おいて冷めた状態の方が味をしっかりと感じられる事がありますが、これは温度による感じ方の変化も手伝っているわけです。
「甘味」については体温くらいの温度が一番強く感じられ、そこから上にも下にも離れるほど感じにくくなると言われています。
食べ物の味というのは甘味も塩味も色々な味を全て含めて複合的に感じるモノですので一概に温度が低いからどうのこうの気にする必要はないのですが、ダイエットなどの関係で甘いものを控えている方なんかは知っておくと役に立つ知識かもしれません。
例えばアイスクリームはとても冷たいわけですが、あの温度であの甘さを出そうと思えば相当な量の砂糖が入っていることを覚悟する必要があります。
同じ理屈で冷やして飲むソフトドリンク類の砂糖の量も多いはずですから、ダイエット中は冷たいドリンクやスイーツ類は控えて、飲むのなら無糖のお茶類、食べるのなら常温で食べられる和菓子などにしておくと甘さもしっかり感じられて糖分も抑えられる事になります。
ところで、味覚というのは温度とは別に年齢でも感じ方に変化があることをご存知でしょうか。
主に「塩味」の感じ方が大きく変化するのですが、10〜20代の若者と80代の老人では感じ方に4倍の開きがあると言われていて、老人の方が4倍「塩味」を感じにくくなると言われています。つまり若者は料理に塩1gで済むところを、老人は4g使わないと同じ塩味を感じてもらえない理屈です。
ご自分の身近に「最近うちの料理は味が薄くてかなわん」などと愚痴を言っている人がいたら、こうした理由があるのかもしれませんね。
ただお年寄りの場合、味覚に障害が出る一番の原因は服用している薬の副作用と言われていますので、もし身近なお年寄りの味覚に異常を感じたら、まずは薬剤師さんなどに相談することをおすすめします。