だんだん歳を取り身体機能が衰えてくると食べ物を飲み込む機能も衰えます。
ただ、衰え方については個人差が大きいので一概に誰でも飲み込みに苦労するわけではありません。亡くなるまで全く問題無く過ごす方も勿論いらっしゃいます。
しかし食事中に明らかにむせて咳き込む事が増えたと感じられる場合は、トロミ剤の使用を考える必要が出てきます。
特にお茶や水を飲もうとすると高い確率でむせて咳き込むといった場合はトロミ剤を使う時期に来たと考えて下さい。
この状態になりますと、味噌汁もそのまま飲むことが難しくなってきますから食事で提供する料理の内容にも配慮が必要になってきます。
ところで市販されているトロミ調整剤はどの商品も「料理の味を変えません」とされていますが、実際にはメーカーによって微妙に味に変化がありますので、出来れば何種類か試してみて良さそうなものを選ぶことをおすすめします。
さて、食べごろclubではちょっとの工夫でトロミ調整剤を使わずに食事をしていただきたいという主旨で色々なレシピをご提案しているわけですが、毎日の3度の食事全てがそうしたレシピで賄えるわけでもありません。当然便利なトロミ調整剤を使う事もあって良いと思います。
そこでご家庭でトロミ調整剤を使われる場合の基本的な使い方をお伝えしたいと思います。
トロミ調整剤は直接液体に投入してトロミをつける使い方と、味をつけた出汁などにトロミ調整剤を溶いた「トロミ液」を別途作っておいて、固形の肉や魚などの料理に掛けて使う方法の大きく2種類の使い方があります。
液体に直接トロミ調整剤を溶かして使う場合は、入れたトロミ調整剤がダマにならないようにしっかり撹拌することだけ注意すれば良いので簡単です。
味も基本的にはあまり変わりません。ただ、トロミ調整剤入りの液体には独特の食感がありますので多少慣れてもらう必要があるかもしれません。
一方で、トロミ液を作って料理の上から掛けて使う方法の場合、トロミ液を掛ける料理の味とトロミ液の味がミスマッチになってしまうと料理を不味くしているだけで、せっかくトロミを付けて飲み込み安くしても不味くて食べられなかったといった事になってしまいます。
介護施設などで良くあるパターンなのですが、主菜が洋風のスパイスを効かせた肉料理なのに、上から掛けるトロミ液は和風出汁の味のものを掛けてしまいクレームになるといった事例です。
施設では多くの人に対応出来る様あらかじめトロミ液を大量に作り置きして使うのでこうした間違いが起こるのですが、家庭の場合、施設と違ってあらかじめトロミ液を作っておく必要はありません。
要介護者にとって食事の時間は何より楽しみな時間です。
トロミ調整剤の基本的な使い方をマスターした上で、なるべく使わずにすむ献立が理想ですが、時には便利なものに頼るのも介護をストレスなく続けていくには大切な事です。