食は世につれ

「歌は世につれ世は歌につれ」という言葉がありますが、「食」についても同じ事が当てはまると常々思っています。

例えば、私が幼少期を過ごした昭和40年代は、現在に通じる食文化が花開いた時代でした。

今では当たり前にある「缶コーヒー」が登場したのは昭和44年ですし、マクドナルド1号店がオープンしたのは昭和46年です。

インスタントラーメンは私が物心ついた昭和40年代初め頃すでにありましたが、袋麺だけでカップ麺についてはまだありませんでした。

カップ麺はニッシンの「カップヌードル」が発売されたのが最初だったと記憶しています。当時、笑福亭仁鶴さんが「3分間、待つのだよ」と言うテレビのコマーシャルが盛んに流れていたのですが、このCMがカップ麺のCMだったのかレトルトカレーのCMだったのか、はたまた別のインスタント食品のCMだったのかは記憶が曖昧です。

(どなたか覚えていらしたらコメント欄で教えて下さい)

ちなみに今も売っている「ボンカレー」が日本初のレトルト食品だそうです。

ファーストフードにインスタント食品という今に通じる二つのジャンルが日本に登場したのが実は昭和40年代だった事になります。

昭和50年代にはポカリスエットが登場してスポーツ飲料というジャンルも出来上がりました。

これを初めて飲んだときのことは今でも覚えていますが、何とも不思議な味の飲み物だと思ったものです。

その後も冷凍食品や電子レンジ向けの食品など様々に発展してきましたが、食文化全体に対するインパクトという意味合いでは昭和30〜40年代に発売された食品群がダントツではないでしょうか。

この頃に生まれた商品で、今でも定番として売れ続けている商品はお菓子も含めればかなりの数に登るのではと思います。

時代背景的には戦後の混乱期を抜け、高度経済成長が本格的になり大量生産大量消費の時代に突入した頃と重なります。

そうして50年の時が流れたわけですが、日本生まれのインスタント食品は今では世界のスタンダードとなる一方で「和食」は世界文化遺産となりました。

経済的にはずっと停滞している日本ですが、食も含めた文化の発信基地としては、その影響力は世界有数だと思います。

この先の時代に、日本から一体どんな食文化が生まれてくるのか。

古くは中国で生まれた「薬食同源」が日本では「医食同源」として広まった様に、あるいはイタリアで生まれた「スローフード」が食を超えた哲学として日本にも広まった様に、食に対する向き合い方や考え方が問われる時代になったと思う今日この頃です。

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