介護保険と介護をめぐるお金の話し

ここのところ介護保険をめぐるニュースを目にする機会が増えています。内容はだいたい同じ内容で、ケアプランの有料化についての話題と介護保険2割負担の対象拡大の話しです。

今のところ2割負担対象拡大の方はどうも実施の方向で報道されていてケアプランの有料化については先延ばしの報道が多いです。

ただ、あくまで先延ばしなので何か世論の大きな反発でも無い限りはいずれこれも実施されるでしょう。

日本は65歳以上の高齢者が人口の3割近くを占める超高齢社会ですから、こうした費用負担が増えるのも仕方ないと考え、特に内容を調べもせずに安直に値上げを受け入れてしまいがちです。

しかしこうした事をきっかけに、自分が実際に支払っている介護保険料がどういった利権を生みどういった場所にお金が流れているのか少し考えてほしいと思います。

実際に身内が要介護認定を受けて介護生活をしている方ならある程度ご存知かと思いますが、自宅で介護をする事になったとして、もし介護保険を使わずに必要なものを全部自費で購入するとなった場合の金額が一体どれほどになるかご存知でしょうか。

トイレや廊下に手すりを付けたり車椅子を用意したり介護用のベッドを用意したりと、必要と思われる備品を控えめにチョイスしてもあっという間に100万円を超える金額になります。

だったらレンタルにすればと考えても、全額自己負担でレンタルするとなると毎月の金額は相当な金額になると覚悟しなければなりません。

実はこの金額、同じ商品でも「介護用」という括りをはずして一般的な相場の値段で引き直したらかなり安くなると言われています。

理由は簡単で、介護保険を利用する事で消費者の実際の支払いは安くなりますし、介護に必要な備品を値切ろうとする人はいないので、メーカー側も強気の値段設定が出来るからです。

メーカーは勿論営利目的で営業しているわけですから、これを全て悪いと片付ける事も出来ません。利益を上げられる所から利益を上げるのはいたって正当な商行為です。

ここで冒頭の費用負担が増える話しに戻るのですが、つまり介護関連業界で一番利益を享受しているのは実は介護関連用品を製造しているメーカー等で、逆にお金の面で低い水準に抑えられて割を食っているのが現場で介護をする介護士さん達の給料です。

そんな中、現役世代が支払う介護保険料の負担もじわじわと増え、利用者側の負担が2〜3割になったとしてもメーカーが値下げするとは思えませんし、介護士さんの給料が劇的に上がるとも思えません。

これはやはり根本的に考え直さないといけないと思いますが、皆さんはいかがでしょうか?

ちょっと私なりの考えをあげてみます。

まずメーカーについては、介護を念頭に商品を販売するのであれば、「福祉」といった概念も必要であり、値下げの圧力が無いから高値で販売する事は社会的に褒められた行為ではありません。メーカーには更なる社会貢献を考えて欲しいと思います。

そして、介護士さんの給料を安く抑えることは、直接介護の質にも関わる事であり、結果的に介護を受ける人の幸せにつながりません。

そこで提案ですが、介護関連の商品を提供するメーカーさん達には一定以上の利益が上がれば、そこから上の利益については全て供出してもらいます。

そしてそのお金の中から介護士さんの給料の一部を負担したり、あるいは現役世代の介護保険料が上がる事を抑える為に使ってはいかがでしょうか。

こうした事が、世界で最も早く高齢化が進む日本が世界に向けて示す事であり、やるべき事なのではないかと思うのです。

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