一般にお年寄りは唾液の分泌量が若い人に比べて少なくなっており、更に歯も悪くなっているケースがほとんどなので個人差はあるにしても、噛むことや飲み込む事について気をつけてあげることが必要になってきます。
その際に、食材の特徴を頭に入れながら調理をするといいと思いますので、食材別の選び方や調理のポイントを以下に書き出しましたので参考にして下さい。
○肉類…脂身が適度にある部位を選ぶ。
牛や豚はヒレ肉などの赤身肉の方が軟らかいイメージがあるかもしれませんが、加熱の度合いによって硬く身が締まってしまいます。焼く場合はロースなどの適度に脂身がある部位を包丁の背や肉たたきなどで軽く叩いてから調理し加熱しすぎないように注意して下さい。
煮込む場合は筋などのゼラチン質が多い部位を選んだ方が軟らかく仕上がります。
鶏肉ならむね肉よりもモモ肉の方が焼くにしても煮るにしても扱いやすいです。
○魚介類…赤身と白身は生食と加熱する場合で逆の結果になる事を覚えておく。
お刺身で食べる場合にはマグロやカツオなど赤身の魚の方が軟らかくて食べやすいですが、ヒラメや鯛などの白身魚は逆に身が締まっていて噛みにくい食材になってしまいます。
一方加熱調理した時には、マグロやカツオなどの赤身の魚は身が硬く締まるのでお年寄りには食べづらい料理になってしまいますがタラや鮭などの白身魚は加熱しても身が締まらず逆に柔らかく食べやすくなります。
貝類は生ならホタテ貝柱が最も噛みやすく食べやすいですし加熱するなら牡蛎が比較的食べやすい食材です。アサリやシジミ、蛤などはヒモの部分が加熱により硬くなり噛みにくいですし誤嚥しやすい食材ですので気をつけましょう。
イカ・タコ・エビ・カニなどは調理の仕上がり具合を見て必要なら隠し包丁を入れるなどして提供しましょう。
○野菜類…調理方法を工夫して提供する。
繊維が多いからと避けていては野菜不足になってしまいます。ニラや水菜などの繊維が強い野菜は必ず繊維と直角に包丁を入れて刻むなどして工夫しましょう。
また、サツマイモなどの芋類も塊で飲み込んでしまえば窒息の原因になります。ですのでカットするときにティースプーンに乗る程度の大きさまで小さくカットするなど大きさに気を遣って調理する事を覚えておきましょう。
以上、介護食士の立場から簡単に説明してみました。